【小説】ぜんしゅの跫/澤村伊智

ぜんしゅの跫比嘉姉妹シリーズの第五作目。五編の短編を纏めたシリーズ二冊目の短編集です。
本編読了後に読んだ方がより楽しめる一冊になっていますので、是非既刊シリーズを読んでから手に取って見てください。
個人的には本編よりも好きな一冊です。

■公式紹介文

見えない通り魔「ぜんしゅ」の正体は――!? 比嘉姉妹シリーズ第5弾!
妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。しかし、新婦の佐川知紗は思わず二度見してしまうほど器量の悪い娘だった。
式の最中、野崎という男性が知紗にある画像を見せたことから、彼女は錯乱し、鼻水を垂らしながら秀樹に縋りつき「お父さん」と呼ぶ。
こんな娘は嫌だ――汗がどっと噴き出た瞬間……。映画「来る」へのアンサー的短編!
――「鏡」
真琴と野崎の結婚式。姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
夜な夜な通行人を襲って引き摺り回し、建造物を破壊する巨大な化け物の正体とは……!?
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が活躍する、書き下ろし表題作!
――「ぜんしゅの跫」

■書籍情報

出版社: 角川ホラー文庫
著者:澤村伊智
定価: 704円
発売日:2021年01月22日
判型:文庫判
ページ数:304
ISBN:9784041099568

■感想

ネタバレありの感想のため、前知識なしで読まれたい方はご注意願います。

ぜんしゅの跫

ようやく!
真琴ちゃんと野崎さんが結婚したぞ!!
おめでたい!!幸せになれ!!

もう二人のいちゃこらだけ見させてくれ。と思いつつ、やはり二人のことなので新婚早々怪異に首突っ込んでますよね。
そして琴子お姉さんも相変わらず可愛い。比嘉姉妹可愛い。

今までの作品から比べると、被害はあるもののハッピーエンドで読後感が最高でした。巻末に収録してくれてありがとうございます。
もちろんちゃんとホラーですし、本丸がわかるまでは誰が・何が元凶か疑心暗鬼になりつつ読み進めていく王道スタイルで怖いのですが、しっかり大団円です。安心してください。新婚初っぱなから未亡人になるようなことはありません。良かった。
「シリーズ完」と言いたいところですが、これからも比嘉姉妹や野崎さんのやりとり・活躍を見たいので続刊もお願いします。
短編読み切りも好きなので小話も読みたいです澤村先生。

赤い学生服の女子

密かに前回の短編集収録の『学校は死の匂い』で好きだった古市と美晴ペアが出て来たことが嬉しいです。
こんな再登場の仕方があるのは、このシリーズならではですね。
不穏な最後で終わりますが、古市には生きてほしいです。そして澤村先生はこの終わり方が好きなのでしょうか。このタイプの終わり方はホラーの王道ですが、結構登場回数多い気がします。

『鬼のうみたりければ』『わたしの町のレイコさん』もとても好きでした。
短編集なので、前回の『などらきの首』同様シリーズ本編を読んでいる方が全体的に楽しめます。
かつ、今回は表題作以外は全体的に「手に負えない怪異」というよりは人間そのものや、化かさる恐ろしさ的な者が多かったです。都市伝説や洒落怖系の怖さが好きな人におすすめです。
やっぱり一番恐ろしいのは人間ですよね。


ブログランキング・にほんブログ村へ

投稿者:

霜月 六花

おんな2人(人間一人と猫一匹)で極楽な生活を満喫中。 趣味の読書や映画の記録をゆるゆると綴っていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です