「ぼぎわんが、来る」の比嘉姉妹シリーズの第二作目。
前作で活躍した真琴ちゃんと野崎さんメインの話です。
オカルト出版社で起きた怪死事件と、過去に投函された一作の原稿。その原稿を読んだ者は、人形が見えるようになり、日に日に近づいてくる人形に最終的には取り殺されてしまう。
■公式紹介文
その物語は、人を殺す――。『ぼぎわん』に続く、比嘉姉妹シリーズ第2弾!
オカルト雑誌で働く藤間が受け取った、とある原稿。読み進めていくと、作中に登場する人形が現実にも現れるようになり……。迫りくる死を防ぐために、呪いの原稿の謎を解け。新鋭が放つ最恐ミステリ!
■書籍情報
出版社: 角川ホラー文庫
著者:澤村伊智
定価:836円(本体760円+税)
発売日:2018年07月24日
判型:文庫判
ページ数:464
ISBN:9784041067680
■感想
ホラーでありつつミステリの手法も取り入れつつ進んでいく、現在と過去と一つの物語を行ったり来たりしながら進んでいくストーリーにドキドキさせられます。
割と途中で話の筋や人間関係については読めて来るのですが、いやぁそこでそうなるのか。見事に作者のミスリードさせられました。
とても良い話なので、ずうのめ人形も映画化してほしいです。ただ、「来る」のラストが原作と異なるし続きを作るのは難しいかもしれません。
と思いつつ読み進めていましたが、これは映像化したら良さが半減する作品ですね。小説でネタバレ・前知識なしで読めて良かったです。
以下、確信には触れませんが軽いネタバレになりますのでご注意ください。
真琴ちゃんたちが助かった理由が、本当に「ただ運が良かっただけ」なんですよ。
本当にたまたま、ほんの一瞬。タッチの差で助かっただけ。
自分たちの知らないところで、誰かが怨霊の本体を倒してくれたので、死なずに済んだ。ほんの少し何かが違っただけで、真琴ちゃんや野崎さんもみんな死んでいた可能性がある。
でも、それって普通に生きている人間みんなに言えることだよね。とふと考えさせられたり。
そして、「毒親」という言葉がよく言われるようになってきましたが、親にされたことを子が周囲や自分の家族にしてしまう……。ということは往々にしてありますね。
しんどい。まさに毒親家庭をそのまま表すような家庭。
だからといって、それを免罪符に許すことは決してできないのだけれど。物語だけではなく、怪異だけではなく、結局は人間が一番恐ろしい。
何はともあれ、真琴ちゃんと野崎はさっさと幸せになっておくれ。